護師は人気の職業であり、就業している人数は少なくありません。それでいて、近年は医療の現場での人手不足が叫ばれています。では、離職率はどのくらいだと思われますか?
この記事では看護師の離職率(転職率)のデータと、その数字は高いといえるのかどうか、また離職の原因となる理由にはどのようなものがあるのかを解説していきます。
看護師の離職率(転職率)はどのくらい?
日本看護協会の「2016年 病院看護実態調査」データによれば、看護師の離職率は以下のような数字になりました。最新2015年の結果では、常勤看護師が10.9%、新卒が7.8%です。
2011年から2015年にかけて離職率に大きな変化はなく、平均では常勤看護師が看護師の離職率は10.92%、新卒は7.64%です。これは一時期よりやや落ち着いた数字となっています。
看護師の離職率は高い?
では、看護師の離職率は高いといえるのでしょうか。厚生労働省が実施した「平成29年雇用動向調査」をもとに、ほかの業種と比較してみましょう。
この結果によれば、看護師の離職率はほかと比べて特別低いわけではありません。しかし、近年の医療現場における人手不足を鑑みると、深刻な結果といえることでしょう。
厚生労働省のデータによれば、現場から離れてしまった「潜在看護職員」は全国で約71万人いるとされており、看護師の離職につながる問題の解決が求められています。
看護師が離職する理由はなぜ?
では、看護師が離職する理由にはどのようなものがあるのでしょうか。考えられるものを解説していきます。
転職先が見つかりやすい
看護師は国家資格であり、誰でもカンタンになれる職業ではありません。それもあって看護師不足の病院も多く、引く手あまたであることが一番の理由といえます。引っ越して新しい地でも就職しやすいです。
また、病院から同様にほかの病院への転職であれば業務内容に共通する部分も多く、職場が変わっても比較的慣れやすいため、転職のハードルが低いともいえます。
通常、一般企業などであれば転職回数が多いと就職に不利ですが、看護師ならよほどでなければ問題視されない傾向にあります。
より高みを目指すため
前述のように看護師は転職先が見つかりやすいです。それもあって、収入アップ・スキルアップ・キャリアアップなどを目的に転職・退職をする人もいます。
同じ病院勤務でも、配属場所や役職によって必要とされるスキルや知識も異なります。よりスキルアップ、経験を積むために転職するケースがあります。
また、上位資格を取得するとなると勉強をする時間が必要になり、一定期間の研修受講や通学が必要です。そのため勤務時間が短い、融通が利く職場に転職するケースもあるようです。
看護師に女性が多いため
かつて看護婦と呼ばれていたように、看護師はいまだに女性のほうが圧倒的に多いです。女性は結婚や妊娠・出産、子育てなどのライフイベントにより、仕事を続けられなくなる人もいます。
ただ、産後復帰しやすい制度が整っており、復帰を受け入れてくれるような雰囲気の職場であれば、一時的に退職して出産後に復帰する看護師もいます。
子育てや家族の介護などを理由にハードな病院勤務を離れ、ある程度勤務の時間に融通が利く訪問看護や、介護施設などに転職することもあります。
身体的・精神的に負担が大きい
看護師の仕事は病院勤務だとシフト制で生活時間がバラバラ、夜勤などもあり規則正しい生活を送ることが難しくなりがちです。また、患者さんの命を預かるため当然責任もあります。
看護師を志して看護学校に通い、就職したものの、実際に働いてみると想像以上に身体的・精神的に負担が大きく、やめてしまうという人もいるようです。そのまま一般職に転職するケースもあります。
まとめ
このように、看護師さんの離職率は常勤で10%前後、新卒で7%前後という数字です。潜在看職員が約71万人と考えると、少ないともいえない結果になりました。
ほかの業種と比較すると特別多い数字ではないものの転職する人が多く、またハードな仕事ということで別の職種に転職することもあるようです。