病院や施設の看護師として働いていて妊娠した場合、職場への報告をどうするか、仕事を続けるかなど考えることがたくさんありますよね。
仕事を続ける場合は勤務負担を減らしてもらう必要があり、休職や退職する場合はどのタイミングにするか決めることになります。
ここでは、妊娠中の看護師が業務する上で注意すべき点について紹介します。
職場への妊娠の報告は8週までに
妊娠の報告は早めに、遅くても8週までにはしたほうがよいでしょう。
早く報告するべき理由は、身体の負担を避けるために、勤務調整や夜勤免除をしてもらうためです。
「もうシフトを組んでしまったから出て」と言われ、辛い思いをしながら働いたという看護師も多いようです。
妊娠のごく初期でも、直属の上司や看護師長には伝えておきましょう。「相談」の形で話を切り出し、時間を取ってもらうのがおすすめです。
看護師は流産率が高いと言われている職業なので、無理に出勤して悲しい事態にならないよう、早く報告して時短勤務などにしてもらいましょう。
妊娠中の看護業務で気をつけること
特に初期は妊婦である感覚がない場合もありますが、今までと同じ感覚で仕事をするのは危険です。看護師業務で特に注意すべきことを紹介します。
妊娠初期
妊娠4週~4ヶ月は、アルコールやタバコの他に、レントゲンなどの放射線に注意してください。放射線防護エプロンの着用は当然ですが、浴びてしまわないよう細心の注意を払いましょう。
薬、特に劇薬にも注意です。薬剤管理は、今まで以上に念入りにおこなってください。
感染リスクのある作業や力仕事は、なるべく他の人に代わってもらえるよう、上司にお願いしておくと良いでしょう。
妊娠3カ月は流産しやすい時期なので、重いものを持つことやお腹・腰に力の入る動作はやめ、疲れたら休む必要があります。つわりも辛くなってくるため、無理は禁物です。
妊娠中期
妊娠5~7ヵ月は安定期とも言われますが、長時間立ちっぱなしなどは危険です。
看護師は立ち仕事が多いため、切迫早産などになる方も多いです。そのため、立ちっぱなしは避けて適度に座り、休憩中は空きベッドで横になるのがおすすめです。
お腹が張る回数が増えるため、辛くなったら休みましょう。高い場所のものを取るときは、転倒に気をつけます。無理せず、男性看護師や他のスタッフを頼るようにしましょう。
腰痛防止は切迫流産の予防にもなるので、骨盤ベルトを着用しながらの勤務もおすすめです。
妊娠後期である9ヵ月目からは、労働基準法により産休に入ります。体調が良くない場合は、早めに休みに入る方もいます。
看護師の切迫流産率は2倍の過酷な現実
妊娠経験のある看護師の30.5%が「切迫流産」、10%が「流産」を経験という、医労連の2017年調査結果(看護職員の労働実態調査)があります。
これは看護師以外の女性労働者全体の平均(17%)の2倍という衝撃的な数字です。
その原因には、夜勤や多忙の肉体疲労、ミスが人命に関わってしまう精神疲労などがあるようです。
実際に、「夜勤免除されず流産した」「流産後の処置すらせずに出勤させられた」「流産手術後すぐ復職させられた」そんな看護師が大勢いるという悲しい現実があります。
赤ちゃんを守るため、妊娠中の業務軽減は必須です。それにもかかわらず、多忙かつ人手不足の病院では無理な勤務を強いられ、悲しい結末を迎える看護師が多くいるのが現状です。
妊娠前に働きやすい職場への転職がおすすめ
常に人手不足で、妊婦にも夜勤を強いるような職場では、無事出産できたとしても、子育てとの両立に苦労することは目に見えています。
さらに、女性比率が高い職場ほどマタハラが起こりやすく、医労連調査では10人に1人がマタハラ経験ありと回答しています。その大きな原因も、やはり人手不足です。
このため、余裕をもって働ける職場へ、妊娠前に転職しておくのがおすすめです。日勤のみで時短勤務もしやすい訪問看護や、託児所・院内保育のある施設など、育児しながらでも働きやすい看護師の職場を探してみてください。
妊婦の体調は個人差が大きいにも関わらず、皆同じだという勘違いから無理を強いられ退職する妊婦は多いです。
出産後の両立支援は充実してきていますが、妊娠中の支援は不足しています。ただ、取り組みには医療機関だけは限界があり、看護師不足の解消やライフステージに合う働き方の保障制度を国が作る必要があります。
まとめ
赤ちゃんと母体を守るために、業務中はとにかく無理をしないようにしましょう。
勤務軽減をしてくれない職場で無理をして何かあっても、職場は責任をとってくれないことがほとんどです。そのような職場とわかっているなら、妊娠前の転職がおすすめです。