看護師と介護士は患者さまや利用者さまを見守り、生活がしやすいように支援をおこなうという部分では共通している仕事です。
しかし、資格や仕事内容に違いがあり、それゆえに患者さまや利用者さまに対する視点も違ってきます。どのような部分が異なるのかをご紹介します。
看護師と介護士の資格の違い
まず看護師と介護士の大きな違いである、資格についてそれぞれ解説します。
看護師
看護師は正看護師または准看護師の資格を取得する必要があります。それには准看護師なら最低2年、正看護師は3年看護学校か短大を修了し、国家試験に合格する必要があります。
看護師としてステップアップする場合には、認定看護師・専門看護師などの資格がありますが、ともに5年以上の実務経験を要し、取得の難易度は高いです。
介護士
介護士は訪問ヘルパーを除き、無資格でも従事できる仕事です。「介護職員初任者研修(ホームヘルパー)」という資格もありますが、受験資格の制限がなく最短2週間で取得できます。
介護士としてステップアップする場合には、介護福祉士、社会福祉士、ケアマネジャーなどの上位資格があります。
看護師と介護士の仕事内容の違い
基本的に看護師は患者さん・利用者さんのケガや病気の治療を優先します。その点、介護士は患者さん・利用者さんの気持ちを優先して支援をおこないます。仕事内容でどう違うのかご紹介します。
看護師の仕事
看護師の基本的な業務は、患者さんや施設利用者さんの体温・血圧・脈拍などバイタルチェック、採血などの治療補助や、食事・入浴・排泄などの介助といった療養上のケアになります。
ただ、同じ看護師さんでも病院勤務の場合でも配属場所により仕事内容が異なり、また老人ホームやリハビリセンターなど施設での勤務もまた内容が異なります。
介護士の仕事
介護士は看護師と異なり、バイタルチェックなど治療の補助をおこなわず、食事・入浴・排泄などの介助といった療養上のケアがおもな仕事です。
老人ホームやデイサービスなどの介護施設で働く場合、上記のような介助業務だけでなく、屋内でのイベントや外出などのレクリエーションもおこないます。
看護師と介護士の視点の違い
前述のように看護師と介護士は業務上で優先することが異なるため、患者さん・利用者さんに対する視点も異なります。
たとえば、患者さんがつぎのような状態だとします。
- 施設に入所する前は散歩をするのが趣味
- やや鼻風邪気味であるものの、熱はなくバイタルに問題なし
- 片麻痺があるため最近は居室にこもりがちで元気がない
この場合、看護師は風邪気味ということで居室での静養を勧めます。しかし、介護士は利用者さんが元気になるよう、近所の散歩に連れて行くことを提案するでしょう。これが両者の視点の違いです。
このような違いから対立をしてしまう場合があるようですが、互いに患者さんの状態を詳細に共有し合い、じっくり話し合って協力することが患者さん・利用者さんのためになります。
まとめ
看護師と介護士の違いなどを解説しましたが、内容をまとめると以下のようになります。
看護師
- 資格取得の難易度が高い
- 医療補助と介護をおこなう
- 対象者の医療を優先す
介護士
- 無資格でも業務がおこなえる
- 介護をおこなう
- 対象者の気持ちを優先する